エイズ・ポスター・プロジェクトのページ(2)

AIDS Poster Projectのなりたち

 エイズ・ポスター・プロジェクト(APP)は1993年春に設立された非営利民間団体で、現在の主な活動はポスター・ポストカード・スライドショウなどのヴィジュアル表現を使ってエイズに関する情報やメッセージを発信すること、それをより効果的に行う場としてシンポジウムやクラブパーティーを開催することです。

 1993年当時、日本で作られていたエイズに関するポスターは、エイズを排除すべき病としとらえたもの・PWA(People With AIDS=エイズとともに生きる人々)の置かれている状況を無視した差別的なものがほとんどで、セーファーセックスに関する具体的な情報・PWAを勇気づけるメッセージが載ったものは全くありませんでした。APPの活動はまず、セックスに関する具体的な情報・PWAにとって実際に助けとなる情報・それまでのエイズに対するネガティヴなイメージを変えるためのメッセージなどを盛り込んだ、新しいポスターを作ることを目的にスタートしました。ポスター制作のための話し合いを続けていくなかで、ポスターよりも安価で大量に作れて、人に手渡したり送ったりできるポストカードの方が情報・メッセージの発信に適しているということになり、1997年までに12種類のポストカードを制作・配布しました。その後、啓発に取り組む自治体や各種団体からの依頼でポスターやパンフレットなどの制作にもあたりました。

 ポスター・ポストカードの制作を主な目的にしていたAPPが活動を広げるきっかけになったのは1994年に横浜で行われた国際エイズ会議にNGOとして参加したことでした。そこで他のNGOと交流することを通じて痛感したことは、日本にはまだまだ、エイズに関する情報を気軽に受け取れる場がないということ、そしてエイズについて考える際に避けては通れないセックスについて考え・語る機会が足りないということです。そのような場・機会を作るために、1994年9月から2000年7月まで定期的に(最初の1年半は隔月、その後は毎月)開催したエイズ・ベネフィット・ダンスパーティーClub Luv+では、エイズに関する情報の載ったポストカードやリーフレット・コンドームの配布はもちろん、セックスとエイズをテーマにしたパフォーマンスやドラァグ・クイーン・ショウも行われ、クラブに集まる人たちに、踊りながら楽しみながら気軽にエイズについて考えるという場を提供しました。

 APPが現在もっとも力を入れている活動が、エイズとセックスに関するスライドショウとシンポジウムを、高校・大学など教育現場を中心に開催していくことです。小・中・高等学校を通じて満足な性教育が(特に男性に対しては)行われていない一方で、マスメディアを通して男性中心の偏ったセックスのイメージ・情報が垂れ流しにされているのが日本の現状だと思います。今、教育の現場で最も必要なことは、エイズに限らずさまざまなSTD(Sexually Transmitted Deseases=性感染症)とセックスの関係を具体的に教える性教育、男性主体の一方的なセックス観によらない性教育、セクシャリティーの多様性を当然のこととした性教育、セックスをいたずらに罪悪視しない性教育、道徳観と科学的・具体的な情報を混同しない性教育の実現でしょう。APPでは現在セーファーセックスをテーマにしたスライドショウを上映し、その内容をテーマにディスカッションを行うという企画を持って、高校・大学・専門学校をまわっています。今後も新たなスライドショウを制作しながら学校教育の現場を中心に上映を続けていく予定です。

 以上、APPの活動について簡単に説明しました。より詳しい情報が必要な方・質問意見等のある方は、下記までご連絡下さい。

AIDS Poster Project
e-mail : app@japan.com


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